イヌガン

与那国島の祖納(そない)集落に、
高さ70メートルの隆起珊瑚の岩塊、
ティンダバナがあります。

あるとき、
久米島から中山王府への貢納船が荒天に遇い、
与那国島に漂着しました。

一行は男一人、女一人、犬一匹でしたが、
その犬はとても凶暴で男を食い殺してしまいました。

それからというもの、
女と犬はティンダバナの洞穴で
一緒に暮らすようになりました。

あるとき、小浜島の漁師が荒天に遇い 与那国島に漂着しました。

それを見た女は、
「この島には凶暴な犬がいます。早く立ち去って下さい。」
と忠告したのですが、この女の美貌に惹かれ、
犬を退治して、死骸を秘密の場所に隠してしまいました。

それから漁師と女は夫婦になり、七人の子どもをもうけました。
しかし、漁師は、ふとしたことから犬を殺害したことを女に話してしまいました。

それを聞いた女は犬の死骸を抱いて命を絶ったそうです。