太陽所(てぃだんどぅぐる)

大昔、陸地を求めて遠い南の島から船を漕いでいる男がいました。
男は大海原の中で「どに」(大海原が盛り上がった小さな陸地)を発見し、大変喜びました。
しかし、そこは草も木もありません。

男は人間が住めるかどうかを確かめるために、弓矢でヤドカリを放ち、南の島へ帰りました。

何年たち、男は「どに」にやってきました。
ヤドカリは見事に繁殖していたので、家族を連れて「どに」に住み着きました。

そのうちだんだんと人の数も増えてきたので、人々は「どに」を大きくしてほしいとお願いし、神様は「どに」を大きくしてくれました。 次に草木が生えるようお願いし、神様は緑豊かな島にしました。

この島が、今の与那国島です。

ところが、この緑豊かな島に大雨が四ヶ月以上も降り続きました。
何もかも水を含んで燃えるものがありません。

薪に困り、飢えと寒さが島民を襲いました。そこへ一人の老人が現れ、生の竹が良く燃える事を教えてくれました。 その話を聞いた島民は、火をおこすことができ、救われました。

ある日、雲の切れ間から太陽の光が射し、大雨がやんだのです。人々は声をあげて喜びました。

ところで、この大雨で島には谷や川ができ、かえって住みやすい島になりました。
それから、大雨がやんで最初に太陽が当たったところを「てぃだんとぅぐる」とよんで最も神聖な場所として拝所を作って拝むようになりました。

「ばがー島八重山の民話」竹原孫恭著