恵さん■プロフィール
恵 公二 (めぐみこうじ)
鹿児島県奄美大島出身
石垣市平得在住
ふうがまちいなぶっか工房
HP『焼きもの工房 ふうがまち いなぶっか
 
石垣市平得にある、小さな工房で夫婦二人できりもりする恵さん。
石垣市米原の米子焼工房で修行、独立し、現在に至る。
個性豊かなシーサー作りと、多彩な色彩でより深みのある、 かわいらしいシーサー作りを心がけ、一つ一つ丁寧な手作り仕上げのため、同じ形のシーサーでも、よーく見ると、一体一体表情が違う。
土にこだわり、石垣島の土をつかい、粘土作りから、仕上げまで一環して行う。

シーサーは、沖縄で古くから魔よけとして親しまれてきました。
近年では、インテリアとしてまたはデスクのアクセントとして親しまれております。
個性豊かで表情豊かなシーサー作りをする、恵さんの工房にお邪魔してみました。

「かわいいシーサーを作っている工房があるよ。
  でもね、名前が、変な名前で・・・」

最初に、紹介を受けたときの様子である。

『ふうがまち・・・いなぶっか・・・??』
『う~ん。覚えられない。変な名前。どんな意味?舌かむぞー』(失礼いたしました)
でも、ほんと、初めて名前を聞いたときは、一度で覚えられなかったんですもの。(今では、しっかりと覚えましたよー)


「ふうがまちいなぶっか」
って、こ~んな感じかしら(^^)

工房では、ちょっとした置物に人気のかわいいシーサーが並んでいた。
「はじめまして・・・」の挨拶のあと、まず、聞きたかったことを聞いた。

「あのー、ふうがまちいなぶっかの意味を教えてください」
「奄美大島の方言で、『でっかいあたまにちっちゃなおしり』という意味だよ」
とニコニコしながらご主人。
思ったとおり、面白い意味が隠されている。
ご夫婦で運営する工房は、晴れの日限定の営業。
日が昇って、沈むまでが一番大切な時間。
工房見学も晴れの日限定で行われている。
「雨が降ると、作業も天日干しもできないし、開店休業なんですよ」
確かに。あくせくせず、おおらかにつくるから、見ているだけでも癒される、かわいらしいシーサーができるのでしょうね。

丁寧に彩色されたシーサー達が、かわいらしく、一見米子焼のシーサーに似ている。
「ん?一瞬、米子焼?」と、思い、質問してみると、独立して工房を開いたとの事。
「石垣島の土を使い、土作りから形成、焼きまで全てこの工房で行っています。
  窯もみてみる?」
との、誘いに、焼き物に非常に興味のある私としては、思わず「ハイ!!」と、大きな返事。

自宅兼工房の裏に回ると、しっかりと焼き釜があった。
「一度に大量には焼けないけれど、しっかり乾燥させてあるから重ねても
しっかり焼きが入るし、夫婦二人で作っているからこのぐらいの窯で十分。」
「シーサーは元来、家の守り神として重宝されてきましたが、最近では、インテリアとしてまた、アクセントとしてお土産として人気が出てきています」と、奥さん。
こんな、かわいらしいシーサーなら是非パソコンの上にでも置いて、変なウイルスが入らないように番をしてもらいたいものである。

-「たくさん種類がありますが、今、何種類ぐらいあるのかしら?」
 「現在40種類ほどの仲間がいます」

棚の上には、ずらりとお仲間達が集合。
こっちを見て、まるで、ペットショップのワンちゃんたちが、
ガラス越しにしっぽをふっているかのように、ニコニコしている。

         

-「一体つくるのに、どのくらいの時間がかかるのかしら?」
 「小さいものだと、約2週間ぐらいでできます。
   大きいものだと一ヶ月以上かかります」
 「小さいものは、型抜きでつくりますが、大きいものになると、
  てびねりで制作するので、すぐには作れません」
-「てびねり制作となると、同じものは二点とない一品物になるんですか?」
 「てびねりでも、サイズも形も、ほぼ、同じですね。
  工房のシーサーたちは、一体一体手書きの彩色だから、
  同じ表情のシーサーはないよ。ほんの少し、微妙に違います」

-「一般の人が作業工程など見ることはできますか?」
 「工房見学など、受け入れています。
  また、彩色もやってみたいという希望者には、
  教えながらやってもらっていますよ」

せっかくなので、作業風景も見せてもらいました。

採取してきた土を
天日で乾燥させます。
細かくたたき砕きます。
数種類の土を調合
水を加えて泥状にする
手でかき混ぜながら
塊も全て溶かす。
網でこして不純物を取り除く
大きな容器に移して、水肥にする
この状態で一週間ほどねかせる
少し水分がなくなったころ、
石膏の容器に移し
さらに数日乾燥させる
ある程度硬くなったら
練って粘土に。
かわらの上で天日干し
中の空気を追い出しながら
練りこみます
小さなシーサーは
型押しで作ります。
底のばりをとります。
ばりが小さい ほど
きれいに仕上がります。
慎重に型からはずします。

型押し完了。
崩れていないか要チェック

少しおいてから
仕上げに入ります。
顔の部分も丁寧に化粧直し
軽くするために
底部をくりぬきます。
天日で中までしっかりと乾燥。
Sサイズで2~3日
Lサイズ⇒1週間
LLサイズ⇒約1ヶ月
乾燥後、窯詰。
焼きに入ります。
土の調合でいろんな色に
焼きあがります。
たくさんの色を重ねて
表情豊かに仕上げます。
     
一体のシーサーをつくるのに、少なくとも24以上の工程があり、
手間隙かかっていることがよくわかりました。
また、恵さんが愛情を持ってシーサー作りに取り組んでいる姿勢も、
かわいいシーサーを見ているだけでよくわかります。

また、 シーサーだけでなく心温まる和の食器もつくっております。
工房見学は随時受け付け。あなただけのオリジナルシーサー作り。体験してみませんか。

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掲載日:2006年7月29日

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