御嶽

御嶽 沖縄で御嶽(ウタキ)とは神が降臨し鎮座する聖域のことを指します。

御嶽の神は、ほとんどが村建ての始祖、村の功労者などの人格神や集落の守護神であり、祖先崇拝が基本の沖縄独特のものといえます。

八重山諸島では「オタキ」、「オン」、「山(ヤマ)」、「嶽(タキ)」、「杜(ムル)」
奄美地方では「おがみ山」
沖縄諸島では「ウガン」、「腰当森(くさてむい)」、「城(グスク)」
宮古諸島では「スク」などと呼ばれ
本来、御嶽には社(やしろ)などの人工物はなく、自然物(岩石や植物)だけでした。

御嶽にはいくつかの種類があります。

鎮守の御嶽・・・集落を災害や疫病から守るための祈願や感謝、安泰を目的にした御嶽
雨乞御嶽・・・雨乞いなど農耕儀礼を伴った祈願の御嶽
唐船(トーシン)御嶽・・・中国の貿易船等が遭難し、乗組員たちが早く故国に帰れるよう祈願した御嶽
守護神の御嶽・・・村を作り、あるいは災害や疫病から守った人を祀った御嶽
園比屋武(スヌヒャン)御嶽・・・旅の安全を祈願した御嶽


ここで御嶽の構造を八重山にある御嶽(オン)を例にとって説明しましょう。

聖域全体は木々が生い茂り、森を成しています。
御嶽の入口には鳥居が設けてあり、中に入ると開けた場所に出ます。 ここは奉納芸能などが演じられる神庭です。 その奥に御嶽家(オンヤー)と呼ばれる家屋があり、裏側へ抜けられるようになっています。 裏側には小さな庭があり、その奥に威部の前(イビヌマイ)とよばれる門があり、最後に威部(イビ)があります。

威部とは御嶽の核ともいえる場所であり、最も神聖な場所です。大抵そこには大きな木や石があります。稀に香炉が置いてあることもありますが、普通、香炉は威部の前に置かれます。


御嶽は原則として男子禁制ですが、山人数(ヤマニンジュ)と呼ばれる祭祀集団だけは立ち入ることを許されています。 しかし、山人数とて威部ヘ入ることは許されていません。

威部は聖域中の聖域でなので、威部に入れるのはわずかに司と呼ばれる神女とその補佐役だけなのです。

それゆえ、御嶽を訪れる際は、うっかり誤って威部に入り込んだりしないよう気を付けましょう。