四ヶ字豊年祭

ムラプール オンプール1
獅子頭

【四ヶ字豊年祭】

八重山地方では最大の規模で行われる石垣四ヶ字
(しかあざ)の豊年祭(方言でプールまたプーリィ)。
この四ヶ字とは、登野城・大川・石垣・新川の4地区
の事で、石垣島の人口の半数以上が密集する地域での祭りとあって多くの観衆が集まった。

旧暦の6月に行われる農耕儀礼で、五穀豊穣に感謝
し来夏世(クナツユー)の豊作を祈願する祭りである。

2日間行われ、初日は各字にある御嶽で行われるその
年の収穫物への感謝儀礼で、御嶽(オン)ですることか
オンプール(オンプーリィ)

2日目は新川にある真乙姥(まいつば)御嶽で行われる
翌年の豊年を願う祝儀礼で、村をあげて行うことから
ムラプール(ムラプーリィ)とよばれる。

●オンプール
 7月22日(火)午後3時30分から
 美崎御嶽、長崎御嶽、宮鳥御嶽、大石垣御嶽いずれも3時間程度行われた。獅子舞・棒術・舞踊など。 

●ムラプール

 7月23日(水)午後3時30分から
 新川の真乙姥御嶽で16時から20時頃まで開催。奉納芸能、五穀の種子授けの儀とアヒャー綱、ツナヌミン、大綱引きなど。

 ◆祭りの前には…


【真乙姥御嶽―大綱引きの綱作り】
 現在のような形で四ヵ字豊年祭が行われるようになったのは与那覇在番(よなはざいばん)の時代(1778~80)からといわれている。
 220年以上の歴史ある祭。
 農民だけで行っていたときは、農業に勤しむためにやる気を起こさせる年1度の楽しみ、生きがいでもあったプール。
 今では農家は減り、準備作業を行うのも大変である。

 5分間で終わってしまう大綱引きの綱作りは経験のある大人が数十名で丸二日間かけてつくるそう。
 ムラプール二日前の21日、真乙姥御嶽ではバラフサの山の中で、15名あまりの方々が額に汗しながら大綱を作っていた。
 綱を作るためのバラフサは、手で刈ったものしか使えないそう。半年前から農家に声かけし準備しているが、どのくらい確保できるかが
 難しく今年は少し足りなくて白保からかしてもらったとのこと。
 素晴らしい手際のよさでバラフサがあまれ細長い綱となり、渾身の力をこめて打ちつけられながら大綱へと姿を変えていった。
 御嶽前の道路に沿って伸ばされる大綱は全長約100m…その様子は壮観である。


大綱01
 
大綱02
 
大綱03
3名の息がピタリ!
 
大蛇のような大綱…迫力がある
 
棍棒で思いきり叩いてしめていく
大綱04
 
大綱05
 
大綱06
棍棒も手作り…すごい!!
 
どこまでもつづく大綱…
 
八重山の夏の風物詩です

【宮鳥御嶽―棒術の準備】
 オンプール前日、21日宮鳥御嶽では青年達が棒術の準備を行っていた。
 槍の先をサンダーで研いだり、スプレーニスで色を塗りなおしたりと準備に余念がない。
 棒術のメンバーは高校生から大人まで約12名、青年会のを中心にして集められているそうで、2週間前から練習をつんでいるとの事。
 準備風景をみても、先輩から後輩達に細かく指示が出されていて人から人へと伝統が受け継がれているのが感じ取れた。
棒術01
 
棒術02
 
棒術03
サンダーで鋭くとがれていく
 
明日の大舞台では光り輝くはず
 
一つ一つ丁寧に…

 ◆夏の空にはためく旗頭

  
デザインが豊かで、色鮮やかな八重山の旗頭は各字や団体が持ち寄った奉納物のひとつ。
男たちが渾身の力を振り絞って持ち歩く姿は、とても勇ましく、また御嶽前にずらりと旗頭が並ぶ様は壮観である。
今年、描かれていた祈りの旗文字とその意味。

旗文字
旗文字の願い
天恵豊(てんけいゆたか)
 天の神々の恵みと来夏世の豊作を祈る
祈豊穣(いのるほうじょう)
 穀物がよく実ることを祈る
五風十雨(ごふうじゅうう)
 太平之世、五日一風、十日一雨
風調雨順(ふうちょううじゅん)
 豊穣満作への天恵を祈る
和衷協力(わちゅうきょうりょく)
 心から協力し合い平和を願う
弥勒世(みるくゆ)
 人の世の災禍を払い、人々に幸福をもたらす
瑞雲慈雨(ずいうんじう)
 瑞雲を呼び、慈雨に恵まれ万物の豊かさを祈る
寿華甲(じゅかこう)
 「甲」は甲子(きのえね)で数え年61歳の称。還暦を
 お祝いする。
賜稔世(ゆばなうれ)
 豊穣と安らぎを願う
愛郷愛土(あいきょうあいど)
 郷土の楽園を願う土に親しみ、万物元気よく育ち
 平和な郷土の楽園を願う
祈豊(いのるゆたか)
 豊穣を祈る
請福(ふくをこう)
 福の世を請い願う

 ◆オンプール …7月22日 宮鳥御嶽にて…

巻踊り
 
みやとり幼稚園児
 
石小鼓笛隊
石垣婦人会による巻踊り「サァーサァー」
笑顔で踊る姿に大きな拍手が
 

とっても可愛い!みやとり幼稚園児
イニシリ節とまみどーまを踊ったよ

 
石垣小学校の笛隊の演奏
素晴らしい演奏でした
観客
 
子ども会
 
棒術準備体操
テントの中にはおよそ100名余りの
町内会の方々が笑顔で歓談
 
石垣字の子ども会…
ションコを打つ手も堂々としています
 
棒術の出番待ちの青年達
準備体操「イチニ・イチニ!」
留学生
 
棒術
 
少女達
今年はアメリカからきた留学生の
マシューさんも参加しました
 
勇ましい棒術の演技に
会場からは大きな拍手が!
 
いしゃなぎらの子ども達
でーじちゅらかーぎーさぁ~!
獅子舞  
獅子
 
パパお疲れ様
ものすごい迫力の獅子舞
本物の獅子がそこにいるようです!
 
しーしーも獅子の中の青年も
お疲れ様でした~!
 
パパかっこよかったよぉ~!
家族で記念にパチリ


 ◆ムラプール …7月23日 真乙姥御嶽にて…

大綱はこび
 
女の子
 
太鼓を叩く男の子
真乙姥御嶽から西へ200m
みんなで大綱引きの大移動!
 
ションコを叩く少女達…
紅色の衣装が綺麗です
 
太鼓を叩く少年達…
前日も遅くまで練習が行われたそう
旗頭
 
旗頭
  大勢の観客
ずらりと並ぶ旗頭…
夕暮れの空に旗頭が美しく輝く!
 
旗頭を持つ青年…
そのまなざしは真剣そのものです
 
沿道のアパートには徐々に見物の
人たちであふれてきた
ツナヌミン
 
持ち手
 
大綱引
ツナヌミン「牛若丸と弁慶」の登場で
会場は熱く盛り上がった!
 
ツナヌミンの台を支える人々…
まさに「縁の下の力持ち」
 
大綱引きの後には綱を持ち帰る人々
この綱は幸せをよびこんでくれるそう

 取材/撮影 砂川雅世
掲載日:2008年7月24日 
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