木々の由来

昔々、神様が八重山の島々を作ったとき、島には木が一本も生えておりませんでした。

そこで、神様は八重山の島々を緑の島にするために、木々を呼び集めました。

まず最初にやってきたのが、福木。続いて、松が、桑が、少し遅れて、アダンと竹とクバがやってきました。

島にやってきた木々たちは、やはり皆いいところに住みたいので、「ここは俺の場所だ!」「あっちへ行け!」とケンカを始めてしまいました。

それを見かねた神様は木々たちを呼び寄せこういいました。

一番最初にやってきた丈夫な幹をした福木には、「お前の丈夫で大きな体で、人間の家を風や火から守りなさい。」

次にやってきた松には、「お前の美しい体で人の住む村の周りを囲んで病魔や悪霊から村を守りなさい。」

3番目にやってきた桑には、「お前の葉は、大風がきたらすぐに落ちるから、屋敷の中や庭、畑に生えて、人間や小鳥を助けなさい。」

遅れてやってきたアダンと竹クバには、
「アダンは、海岸が削られないように島を守りなさい。竹は、天から降ってきた雨水をゆっくりと下に降ろすように、根をできる限り広げなさい。クバは、その大きな葉は、団扇やツルベになって世のためにつくしなさい。」

そこに、ソテツが遅れてやってきました。「私はどこに住んだらいいのでしょう?」

神様はソテツに、「お前は遅れてきたからもう残っている場所はない。そこの岩だらけの土地で我慢しなさい。」といいました。
ソテツはがっかりした顔をしていましたが、仕方がないので岩だらけの土地に住むことにしました。

神様は、みんなの役目を決め終えたので帰ろうとしていると、さらに遅れてアコウとガジマルがやってきました。
「私たちはどこに住んだらいいでしょうか?」
神様は怒って、「お前たちは、勝手に石でも抱いてろ。」といい放って、帰っていきました。

それで、ガジマルとアコウは今でも石に抱きついているそうです。